哀歌1-2 ; へブル10:1-18

哀歌

第1章

1:1ああ、むかしは、
民の満ちみちていたこの都、
国々の民のうちで大いなる者であったこの町、
今は寂しいさまで座し、やもめのようになった。
もろもろの町のうちで女王であった者、
今は奴隷となった。
1:2これは夜もすがらいたく泣き悲しみ、
そのほおには涙が流れている。
そのすべての愛する者のうちには、
これを慰める者はひとりもなく、
そのすべての友はこれにそむいて、その敵となった。
1:3ユダは悩みのゆえに、
また激しい苦役のゆえに、のがれて行って、
もろもろの国民のうちに住んでいるが、安息を得ず、
これを追う者がみな追いついてみると、
悩みのうちにあった。
1:4シオンの道は祭に上ってくる者のないために悲しみ、
その門はことごとく荒れ、
その祭司たちは嘆き、
そのおとめたちは引かれて行き、
シオンはみずからいたく苦しむ。
1:5そのあだはかしらとなり、その敵は栄えている。
そのとがが多いので、
主がこれを悩まされたからである。
その幼な子たちは捕われて、あだの前に行った。
1:6シオンの娘の栄華はことごとく彼女を離れ去り、
その君たちは牧草を得ない、しかのようになり、
自分を追う者の前に力なく逃げ去った。
1:7エルサレムはその悩みと苦しみの日に、
昔から持っていたもろもろの宝を思い出す。
その民があだの手に陥り、
だれもこれを助ける者のない時、
あだはこれを見て、その滅びをあざ笑った。
1:8エルサレムは、はなはだしく罪を犯したので、
汚れたものとなった。
これを尊んだ者も皆その裸を見たので、
これを卑しめる。
これもまたみずから嘆き、顔をそむける。
1:9その汚れはその衣のすそにあり、
これはその終りを思わなかった。
それゆえ、これは驚くばかりに落ちぶれ、
これを慰める者はひとりもない。
「主よ、わが悩みを顧みてください、
敵は勝ち誇っていますから」。
1:10敵は手を伸べて、その財宝をことごとく奪った。
あなたがさきに異邦人らはあなたの公会に、
はいってはならないと命じられたのに、
彼らがその聖所にはいるのをシオンは見た。
1:11その民はみな嘆いて食物を求め、
その命をささえるために、財宝を食物にかえた。
「主よ、みそなわして、
わたしの卑しめられるのを顧みてください」。
1:12「すべて道行く人よ、
あなたがたはなんとも思わないのか。
主がその激しい怒りの日にわたしを悩まして、
わたしにくだされた苦しみのような苦しみが、
また世にあるだろうか、尋ねて見よ。
1:13主は上から火を送り、
それをわが骨にくだし、
網を張ってわが足を捕え、
わたしを引き返させ、
ひねもす心わびしく、かつ病み衰えさせられた。
1:14わたしのとがは、つかねられて、
一つのくびきとせられ、
主のみ手により固く締められて、
わたしの首におかれ、
わたしの力を衰えさせられた。
主はわたしを、立ちむかい得ざる者の手に渡された。
1:15主はわたしのうちにあるすべての勇士を無視し、
聖会を召集して、わたしを攻め、
わが若き人々を打ち滅ぼされた。
主は酒ぶねを踏むように、
ユダの娘なるおとめを踏みつけられた。
1:16このために、わたしは泣き悲しみ、
わたしの目は涙であふれる。
わたしを慰める者、わたしを勇気づける者が
わたしから遠く離れたからである。
わが子らは敵が勝ったために、
わびしい者となった」。
1:17シオンは手を伸ばしても、
これを慰める者はひとりもない。
ヤコブについては、主は命じて、
その周囲の者を、これがあだとせられた。
エルサレムは彼らの中にあって、
汚れた物のようになった。
1:18「主は正しい、
わたしは、み言葉にそむいた。
すべての民よ、聞け、
わが苦しみを顧みよ。
わがおとめらも、わが若人らも捕われて行った。
1:19わたしはわが愛する者を呼んだが、
彼らはわたしを欺いた。
わが祭司および長老たちは、その命をささえようと、
食物を求めている間に、町のうちで息絶えた。
1:20主よ、顧みてください、
わたしは悩み、わがはらわたはわきかえり、
わが心臓はわたしの内に転倒しています。
わたしは、はなはだしくそむいたからです。
外にはつるぎがあって、わが子を奪い、
家の内には死のようなものがある。
1:21わたしがどんなに嘆くかを聞いてください。
わたしを慰める者はひとりもなく、
敵はみなわたしの悩みを聞いて、
あなたがこれをなされたのを喜んだ。
あなたがさきに告げ知らせたその日をきたらせ、
彼らをも、わたしのようにしてください。
1:22彼らの悪をことごとくあなたの前にあらわし、
さきにわがもろもろのとがのために、
わたしに行われたように、彼らにも行ってください。
わが嘆きは多く、
わが心は弱りはてているからです」。

第2章

2:1ああ、主は怒りを起し、
黒雲をもってシオンの娘をおおわれた。
主はイスラエルの栄光を天から地に投げ落し、
その怒りの日に、
おのれの足台を心にとめられなかった。
2:2主はヤコブのすべてのすまいを
滅ぼして、あわれまず、
その怒りによって、ユダの娘のとりでをこわし、
これを地に倒して、
その国とそのつかさたちをはずかしめられた。
2:3主は激しい怒りをもって、
イスラエルのすべての力を断ち、
敵の前で、おのれの右の手を引きもどし、
周囲を焼きつくす燃える火のように、
ヤコブを焼かれた。
2:4主は敵のように弓を張り、
あだのように右の手を伸べて立ち、
シオンの娘の天幕におるわれわれの目に誇る者を、
ことごとく殺し、
火のようにその怒りを注がれた。
2:5主は敵のようになって、イスラエルを滅ぼし、
そのすべての宮殿を滅ぼし、そのとりでをこわし、
ユダの娘の上に憂いと悲しみとを増し加えられた。
2:6主は園の小屋のようにおのれの幕屋を倒し、
その祭の場所をこわされた。
主は祭と安息日とをシオンに忘れさせ、
激しい怒りによって、王と祭司とを捨てられた。
2:7主はその祭壇を忌み、その聖所をきらって、
もろもろの宮殿の石がきを敵の手に渡された。
彼らは祭の日のように、主の宮で声をあげた。
2:8主はシオンの娘の城壁を破壊しようと
思い定めて、なわを張り、
打ちこわして、その手をひかず、
城壁と石がきとを悲しませられた。
これらは共に衰える。
2:9その門は地にうずもれ、
主はその貫の木をこわし砕かれた。
その王と君たちはもろもろの国民の中におり、
もはや律法はなく、
またその預言者は主から幻を得ない。
2:10シオンの娘の長老たちは地に座して黙し、
頭にちりをかぶり、身に荒布をまとった。
エルサレムのおとめたちはこうべを地にたれた。
2:11わが目は涙のためにつぶれ、
わがはらわたはわきかえり、
わが肝はわが民の娘の滅びのために、
地に注ぎ出される。
幼な子や乳のみ子が町のちまたに
息も絶えようとしているからである。
2:12彼らが、傷ついた者のように町のちまたで
息も絶えようとするとき、
その母のふところにその命を注ぎ出そうとするとき、
母にむかって、「パンとぶどう酒とは
どこにありますか」と叫ぶ。
2:13エルサレムの娘よ、わたしは何をあなたに言い、
何にあなたを比べることができようか。
シオンの娘なるおとめよ、
わたしは何をもってあなたになぞらえて、
あなたを慰めることができようか。
あなたの破れは海のように大きい、
だれがあなたをいやすことができようか。
2:14あなたの預言者たちはあなたのために
人を欺く偽りの幻を見た。
彼らはあなたの不義をあらわして
捕われを免れさせようとはせず、
あなたのために人を迷わす偽りの託宣を見た。
2:15すべて道行く人は、あなたにむかって手を打ち、
エルサレムの娘にむかって、あざ笑い、
かつ頭を振って言う、
「麗しさのきわみ、全地の喜びと
となえられた町はこれなのか」と。
2:16あなたのもろもろの敵は、あなたをののしり、
あざ笑い、歯がみして言う、
「われわれはこれを滅ぼした、
ああ、これはわれわれが望んだ日だ、
今われわれはこれにあい、これを見た」と。
2:17主はその計画されたことを行い、
警告されたことをなし遂げ、
いにしえから命じておかれたように、
滅ぼして、あわれむことをせず、
あなたについて敵を喜ばせ、
あなたのあだの力を高められた。
2:18シオンの娘よ、声高らかに主に呼ばわれ、
夜も昼も川のように涙を流せ。
みずから安んじることをせず、
あなたのひとみを休ませるな。
2:19夜、初更に起きて叫べ。
主の前にあなたの心を水のように注ぎ出せ。
町のかどで、飢えて
息も絶えようとする幼な子の命のために、
主にむかって両手をあげよ。
2:20主よ、みそなわして、顧みてください。
あなたはだれにむかって
このように行われたのですか。
女は自分の産んだ子、
その大事に育てた幼な子を食べるでしょうか。
祭司と預言者が主の聖所で殺されていいでしょうか。
2:21老いも若きも、ちまたのちりに伏し、
わがおとめも、若人も、
つるぎで倒されてしまった。
あなたは、その怒りの日にこれを殺し、
これをほふって、あわれむことをされなかった。
2:22あなたは、わたしの恐れるものを、
祭の日のように四方から呼び集められた。
主の怒りの日には、
のがれた者も残った者もなかった。
わたしが、いだき育てた者を
わたしの敵は滅ぼし尽した。


へブル

第10章

10:1いったい、律法はきたるべき良いことの影をやどすにすぎず、そのものの真のかたちをそなえているものではないから、年ごとに引きつづきささげられる同じようないけにえによっても、みまえに近づいて来る者たちを、全うすることはできないのである。10:2もしできたとすれば、儀式にたずさわる者たちは、一度きよめられた以上、もはや罪の自覚がなくなるのであるから、ささげ物をすることがやんだはずではあるまいか。10:3しかし実際は、年ごとに、いけにえによって罪の思い出がよみがえって来るのである。10:4なぜなら、雄牛ややぎなどの血は、罪を除き去ることができないからである。10:5それだから、キリストがこの世にこられたとき、次のように言われた、
「あなたは、いけにえやささげ物を望まれないで、
わたしのために、からだを備えて下さった。
10:6あなたは燔祭や罪祭を好まれなかった。
10:7その時、わたしは言った、
『神よ、わたしにつき、
巻物の書物に書いてあるとおり、
見よ、御旨を行うためにまいりました』」。
10:8ここで、初めに、「あなたは、いけにえとささげ物と燔祭と罪祭と(すなわち、律法に従ってささげられるもの)を望まれず、好まれもしなかった」とあり、10:9次に、「見よ、わたしは御旨を行うためにまいりました」とある。すなわち、彼は、後のものを立てるために、初めのものを廃止されたのである。10:10この御旨に基きただ一度イエス・キリストのからだがささげられたことによって、わたしたちはきよめられたのである。
10:11こうして、すべての祭司は立って日ごとに儀式を行い、たびたび同じようないけにえをささげるが、それらは決して罪を除き去ることはできない。10:12しかるに、キリストは多くの罪のために一つの永遠のいけにえをささげた後、神の右に座し、10:13それから、敵をその足台とするときまで、待っておられる。10:14彼は一つのささげ物によって、きよめられた者たちを永遠に全うされたのである。10:15聖霊もまた、わたしたちにあかしをして、
10:16「わたしが、それらの日の後、
彼らに対して立てようとする契約はこれであると、
主が言われる。
わたしの律法を彼らの心に与え、
彼らの思いのうちに書きつけよう」
と言い、10:17さらに、「もはや、彼らの罪と彼らの不法とを、思い出すことはしない」と述べている。10:18これらのことに対するゆるしがある以上、罪のためのささげ物は、もはやあり得ない。


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